前回のBlogの、育成年代について考えるより、育成・普及・強化について、以前から考えていることをシェアしていきたいと思います。
指導に携わっている方々なら、必ず考えると思うのですが、他の方々はどのような考え方を持っているのか、一番知りたい分野です。
これからお話するのは、あくまでも私の主観ですので、共感される方、他に素晴らしい価値観を持っている方、いや自分はこうだと思うと揺るぎない価値観を持っている方も、一緒に考えながら読んで頂けると嬉しいです。
そして、色んな分野の指導者の方々の意見や価値観を、私も知りたいです。
まず、思っている事をはっきりと言わせて頂きます。
私がこれまで選手として経験したこと、9年目となるアカデミーの運営と指導者として経験してきたこと、又、引退したトップの方々の意見を踏まえた上で感じたことをいうと、成長期の大事な育成年代に「強化」は必要ないと思っています。なぜなら「強化」ばかりしていると、一番大事な「育成」が疎かになるのではないかなと思うからです。
では一体、育成年代で「強化」はどこまで必要なのか?
そして、「育成」の役割、「強化」の役割はどこまでなのか?
ざっくり理想論を考えると、
12歳くらいまでは「普及」を中心に、
18歳くらいまでは「育成」を中心に、
19歳くらいから(プロを目指す場合)は「強化」を中心とする。
しかし今の日本の現状では、全カテゴリーで全国大会、又トーナメント形式の大会がある以上は、ミニも中学も高校も無意識に「強化」中心になってしまいます。
逆を言えば、育成しづらい環境になっていると思っています。
ですので、日本の現場(文化)でざっくり理想論を考えると、
部活やクラブでPlayしている18歳くらいまでは「普及と育成」を中心に、
その年代の中でも、県や全国の選抜(DC)の子供達は「育成・強化」を中心に、
19歳くらいからプロや代表選手になれば「強化」を中心とした取り組みになっていくといいと思います。
以下の3つを定義する事で、自分の役割、今いる立場、やるべき事が明確になると思うし、理念も考えやすくなると思います。
私なりに、簡単に定義して、それぞれの役割を考えてみました。
「普及」・・・平等
「育成」・・・公平
「強化」・・・不平等、不公平
「普及」=平等について
未経験者や経験者も、身体能力が高い子も低い子も、楽しみたい子も競技として取り組みたい子も、全て平等に同じ練習メニューを促し、同じような声かけをし、全員の「楽しい!」がブレないような空間作りをした活動になります。
それを理解していれば、普及をメインにしたレッスン内容になるだろうし、声かけも平等で、トップでの経験が無くても、バスケが大好きという人材を雇うということになります。単発のバスケットボールクリニックだと、「普及」の役割が多いのではないかと思います。
「育成」=公平について
これは、その子のペースやレベルに合わせた声かけや練習の内容、一番は子供達の未来を見据えた環境を作ってあげることを心がけてあげないといけないと思います。
未経験や身体能力の低い子にはそれに合った練習を、経験者や身体能力の高い子にはそれに合った練習を与えながら、その子の成長のペースで声かけを変えたり、教える質を変えたりなど、臨機応変に対応していくスキルと引き出しが必要になると思います。
頑張ってる子には(学ぶ準備ができている心)そのレベルの質を、意識が足りない子(まだ学ぶ準備ができていない心)には同じ目線に立ったものを与えていくべきだと思います。
それを対応せず平等にやると、できない子は楽しいけどできる子はつまらなくなったり、できる子は楽しいけどできない子が楽しくなくなったり、又、大人が強制してしまうと、いつかは「やらされた態度」でやるようになったり...などしていきます。
ここでは、バスケットボールの経験はもちろん、知識や教育者としての意識、コミュニケーション能力、人間性など、バスケが好き+正しい知識や豊富な経験を持った人材を雇うことが大事だと思います。
公平のあり方を理解していれば、目的に合わせたクラス分け、グループ分け、声のかけ方になるだろうし、又クリニックなどをする時には、スキルトレーニングなど目的を持った内容のものになっていくのだと思います。
「強化」=不平等と不公平について
強化をメインにされてる指導者の方々は、本当に凄いと思います。はっきり言って職人です。なぜなら「強化」というのは、不平等と不公平を受け入れる「覚悟」がお互いに必要だからです。勝負で勝つために活動するので、身体能力や経験値が大事になります。
できない子には合わせませんし、相手にもしません。(私は身長が低いので、色々と経験してきました)
いくら影で努力をしてようが、試合で結果を出す選手だけを、大事な時には必ず選びます。勝負の世界はとても厳しいので、それは当たり前のことです。
この強化ができる人材は、私の中では今のところ、これまでの人生全てを指導に託し結果を出し続けている大御所の方達(まさに職人)のような人材だと思います。
覚悟を理解するということは、最初に選手に伝える約束もそれなりに納得のいくものを与えるべきで、それをやり通す強い意志・信念が必要になります。ここでは、クリニックよりもトライアウトをすべきで、選考基準を設けたり、フィードバックをする機会を与える工夫をして、トップで活躍する選手の成長を促します。
このような事を整理して考えた時、最低でも小・中学生に「強化」は必要ないと思っています。この年代には、「普及」と「育成」の役割を持ったチームが増え、日本のバスケの発展を支える大事な土台となり、「育成・強化」の役割は、日本のトップのJBAが引っ張っていくのが理想です。
もしこの年代で強化をするのであれば、人材を集めて、不平等・不公平を受け入れる覚悟をお互いに持ち、勝てるチームを作る事だって出来ると思います。それも子供の為かもしれません。しかしそうする時には、多くの犠牲者が出るのということも、もちろん覚悟しないといけないし、その年代に強化を経験した子供達が大人になり、引退した後にどんな事を学んでいるかという事も知るべきだと思います。
(私が考える「本当の子供の為とは何か」その話はまた違う機会でBlogしますね)
私は、今の現場でアカデミーの子供達の未来を見据えた成長を考え、環境作りに挑戦し、「普及」と「育成」を中心に、責任を持ってやり続けていきたいと思っています。
同時に、愛知県のU14育成センターの中で、子供達や大人達が成長できるように、しっかりと目的を持った学びのある講習会を実施し、ここでは「育成・強化」を中心に挑戦し、育成現場の改革をしていくと覚悟し、サポートしていきたいと思っています。
育成年代という貴重な時間に、大人達が「育成」を理解して学ばせる環境を作ってあげる事で、無限の可能性を秘めた全ての子供達が、バスケのスキルや人間力に磨きをかける時間を過ごす事ができ、バスケが本気であれば将来の日本代表、もしくはアメリカの大学や海外で通用する人間になれるような、又、バスケを辞めても違う道で、自分の好きな事の達人になれるような、そんなビジョンを持って、これからも育成年代の子供達と関わっていきたいです。
最後に、やはり育成年代では、「強化」ではなく、この年代でしか身に付かない素晴らしい習慣がたくさんあるからこそ、しっかりとした「育成」をしていくべきだと思います。
ARU
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