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  • 執筆者の写真ARU

能力を育てるか、心を育てるか

現場の指導を通しての学びや気づきをシェアしたいと思います。

 育成年代のスポーツの指導現場で私が目指すものは、スポーツを使って子供達の「能力と心を育てる」ことです。

 そこで私が考えるのは、子供たちの将来の可能性を大きく広げることができる為に、どちらに重点を置いて優先的に指導するのがベストなのか、を。


「能力を育てる」ほうを強調することで「心」は自然と育つものなのか、それとも「心を育てる」ことで「能力」もついてくるのか.....

 この楽しそうな考えを具体的に整理していきたいと思います。

 様々な種目のスポーツ経験者の話を聞き、私のこれまでの経験を分析して考えたり、指導現場を見たり聞いたりしていくと、日本の育成年代のスポーツ現場には共通した課題がいくつか見えてきました。

 その中でも多いパターンは、大人が子供に対してそれ以上の技術の上達を強制的に求めたり、どうしても勝利にフォーカスしすぎ、勝利至上主義的な環境を作ってしまい、多くの子供達がスポーツにストレスを感じたり、慢性的な怪我持ちになったり、やり過ぎが引き起こすバーンアウトになってしまったり...


 例えば、大人が子供に強制したり、その人の経験だけの価値観を押し付けたりし続けることで、子供はいつの間にか楽しかったスポーツが、主体性を失い、やらされてしまうような行動になったり、能力があり高い技術や経験を持っているにも関わらず、練習への取り組み方がお手本にならなかったりなど、そういう姿を発見する度に、育成年代を過ごす子供たちにとって必要なことは、いったい何だろうと考えるようになりました。


 私の主観ですが、原因は育成年代のシステムに大きな課題があるがゆえではないかと思っています。

 なぜなら、大会がトーナメント方式で一発勝負の為、たくさん失敗できる大事な時期に、失敗を許されない環境になってしまっている、そして1年間に数回の全国大会など...

 ちなみに私は引退というアイディアが好きではなく、毎日自分の成長の為にやっているのに、なぜ勝手に引退させられるのか疑問に感じていました。しかし引退が早かったお陰で、色々な場所へ行こうと行動力が増えたのでよかったですが。笑


 大人は常に、その行動(プレーなど)を起こした子供に対して、フィードバックを与えています。

「そうじゃないだろ」

「どうしてあんな簡単なシュートが入らないんだ」

「お前がダメだからチームが上手くいかないんだ」

もちろん、自分が受け取りたい100%のフィードバックをもらえるような人に出会うことは、そうそう滅多にありません。

特に表現が不器用な方のフィードバックであれば、なおさら理不尽に聞こえます。

しかし、これらのフィードバックを別の角度から捉えると、

「そのプレーも良かったけど、今のはこうした方が良かったかも」

「あのシュートを決める力が君にはあるのだから、次は期待しているよ」

「君が今気付いてない所を改善できれば、このチームはもっと強くなるよ」


 このように考え方を解釈すれば、自然とモチベーションが上がって頑張れるのではないでしょうか。

 後者のようなフィードバックを与える声かけができる指導者は、一流の指導者だと思います。

 私が出逢った、アメリカの短大や大学のコーチはまさにそのような方で、ネブラスカの時の大学(Hastings)の男性TonyコーチはNAIA全米優勝を3回、アリゾナの時の短大(CAC)の女性LinコーチはNJCAA優勝と30年間で勝率が80%以上の記録を残した素晴らしい方で、

2008年の女子バスケットボール殿堂を受賞されていました。

 昔アリゾナに留学した時期に、そのコーチに出会い練習生として1シーズンお世話になった年がたまたま全米優勝した年でした。

 今でもその時のチームビルディングのやり方、コーチとして理想の姿だなと感じた声かけや選手との接し方、人間性など鮮明に覚えているし、今でも私が目指したい尊敬するコーチの1人です。

 育成年代に高いスキルを身につけるのももちろん賛成ですが、その時期にいくら能力や技術を身につけようが、その子が自分の意思でそれを続けない限り、身につけたスキルはその先落ちてしまうのだと思います。

 しかし、その子が「心を育てるスキル」を身に付けることができれば、そのスキルは一生とれない「人生の武器」になるでしょう。

 大半の親御さんは、その競技を通して子供が「自分で考えて行動できるようになって欲しい」、「上達して欲しい」、「思いやりのある子に育って欲しい」、「礼儀や姿勢を身につけて欲しい」等の思いがあって、スポーツに携わっていると思っています。

もちろん、子供に「スポーツ特待で学校に行って欲しい」、「プロになって欲しい」と強く思ってスポーツをさせている親御さんもいらっしゃると思います。

 子供自身が本気で目標にして、自分の力で計画を立て行動しているのであれば、全力で応援するべきだと思います。

 しかしもしそうでなく、人の顔色を伺ってやっていたり、人から言われてやっていたりし続けていれば、

 もう一度しっかり考え直してみて欲しいと思います。

その子が自分で興味を持ってやっているのか、又は、能力があるから期待をされてやらざるを得ないのか、「今」その子にとって何が本当に必要なのかを。

 子供は、興味を持つことで自発的な行動をとり、その行動の結果がどうであれそれを大人が認めてあげることで自己肯定感が高くなります。その高い自己肯定感を持って行動を繰り返すことで大好きになっていき、大好きだからこそ夢中になる。夢中になるから続ける力が身についていき、続けることで良い考え方を磨くことができます。その良い考え方の習慣が心を育ててくれるのではないかと、私は思っています。

 せっかく素晴らしい能力を持っていても、良い考え方をしなければ成功することは難しいからです。

 技術を磨く訓練をしていても、怒られるから一生懸命やっていたり、心から楽しんでいなかったりすれば、自分で工夫することもできません。アドバイスを攻撃として受け取ったりとネガティブな考え方になってしまう恐れがあるため、ある程度まで上達できればそれ以上は伸び悩み、うまくいかなかった時に、その時の考え方でどっちの行動を選択するか、想像がつくと思います。

 子供の能力を伸ばす為に必要なことは、その子が「良い考え方」をどれだけモノにするかどうか、にかかってくると思います。良い考え方ができると、成長するフィードバックを受け取るスキルを磨くことができ、素晴らしい人になっていくんだと思っています。

 その為に大人(指導者)ができることは、大人自身が常に良い習慣を訓練し続け、子供に「良い考え方」を教えてあげることだと思います。そうすることで、その子の思考の幅が広がり、子供自身がフィードバックのスキルを身につけることができ、人に頼らず立ち直る方法や周りの人と良い関係を築く方法、又、前向きに挑戦する方法など、成功者が持っているようなマインドで行動ができるようになる為、だからその結果、能力が後からついていくようになるのだと思います。

 やはりそう考えると、育成年代を指導する上で意識したいのは、「能力を育てる」よりも「心を育てる」ことに重点をおいて関わっていきたいと思っています。

その為には指導者こそ常に成長ですね!



#心を育てる

#良い習慣

#大人の学び




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